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選ばれる社食運営会社はどんな会社?

社食ドットコムを始めたきっかけ

社食ドットコムは2008年からホームページを立ち上げ、掲載を始めました。当時はまだ社員食堂に陽の目が当たることは少なかったのですが、それでもNHKでは『世界の社食から』という番組が放映されていたり、新聞では時折社員食堂特集が組まれたりするなど、新しい社員食堂時代の息吹が感じられ始めていた頃でした。

そんな中、私はあるビジネス情報誌の企画に関わっており、「これからは社員食堂が面白そうだ」と感じ、そのビジネス情報誌で取り上げるだけでなく、自分でホームページを立ち上げました。良い社員食堂を紹介すれば、その良い社員食堂を参考にさらに良い社員食堂ができるという好循環が期待できます。ひいては労働環境の改善や、社員が会社で良いパフォーマンスを発揮でき、より良いサービス、良い製品づくりに繋がるはずなので、企業は力を入れていくだろう、と考えたのです。これが社食ドットコムの始まりです。
しかし、当時は「自社の社員食堂を紹介してくれるのであれば喜んで」という企業もありましたが、「自社の施設を外部に紹介するなんてとんでもない」という企業も多く、まだまだ多くの企業は社員食堂に注目されていなかった時代でした。

その後、「タニタの社員食堂」の社会的大ブームも追い風となり、さまざまな企業の社員食堂を訪問・取材させていただくようになりました。現在関東・関西を中心に300社超の社員食堂にお邪魔しています(社食ドットコムでの掲載数は百数十社)。そして企業や自治体の社員食堂担当者との交流や勉強会などを通じて、企業側・自治体側担当者の考え方を多く伺う機会をいただくこととなりました。その上でこれからの社員食堂のあり方もあわせてお伝えいたします。

社員食堂の変遷

一説では富岡製糸場が社員食堂の始まりと言われていますが、当初はまさに「食べること」に特化した施設でありました。

 

旧社食時代

近隣に食事施設がない、主に工場などで導入が進む。
肉体労働中心のため、塩分補給やボリューム重視。

 

 

健康第一時代

タニタ食堂などによる「社食ブーム」の到来。
低カロリー食、ヘルシーメニューの関心が一気に高まる。

 

 

 

社食バブル時代

ヘルシーメニューだけでなく
流行の食事を取り入れるなど
社食で豪華なメニューや
他品種多品目を取り入れる企業が増加

 

 

 

超社食時代(現在)

社員同士のコミュニケーション活性、アイデア創出のための場所、SDGsなど社会貢献活動、
インナーコミュニケーションの充実、リクルーティングへの効果など「食」にとどまらない役割

 

 

このように、「食」だけを提供すれば良かった時代から、昨今はそれ以上の機能を社員食堂に持たせようとする企業が多くなってきています。特に本社機能を有する都心部の企業の社員食堂の場合、この傾向が顕著です。
その要因の一つがコロナ禍によるテレワークと出社のハイブリッドワークの定着です。出社して顔をつき合わせて一緒に仕事をするということが少なくなり、従来行なわれていた仕事のノウハウの伝承やコミュニケーションが取りづらくなることが業務に支障をきたしはじめた企業が増えています。
そこである企業の社員食堂では「四人集まったらピザをプレゼントする」という企画を行なっています。たとえば二人組で社員食堂にいくと、「あちらの二人組とご一緒にどうぞ」と勝手(?)にマッチングされ、ピザをシェアしあえるというものです。同じ企業でも知らない人同士が、ピザをきっかけに知り合って社内の人脈を増やそう、という目的で行われているものです。

また企業としてはイノベーションを起こす仕組み作りが必要だと考えられていますが、『アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する『メディチ・エフェクト』の起こし方』(フランス・ヨハンソン 著/CCCメディアハウス刊 )によれば「ルネッサンス期のフィレンツェでは、専門領域の垣根を越えた様々な芸術が集まることで、互いに影響し合い、イノベーションが起きた」とされています。そこで「情報の交差点」をオフィスの中につくり、人が交流できるようにするという役割を社員食堂に持たせる企業が増え、斬新なアイデアを生むことができるオフィスにするという目的を持っています。

さらに、SDGs(持続可能な開発目標)として、企業の業種に関係なく取り組めるのが社員食堂でのフードロスや地産地消(フードマイレージ)、代替肉、廃プラなどの環境への取り組みが可能な施設であることから、企業も積極的にSDGsに取り組んでいます。サステナブルフードを提供する社員食堂もあれば、代替肉と本物の肉の食べ比べや、クイズ形式でSDGsについて考えるエンタメ要素を取り込んだ社員食堂もありますが、同じSDGsメニューを提供するにしても、これからはこのようなエンタメ要素を含む提案ができることが選ばれる社員食堂運営会社となっていくでしょう。
このように社員食堂では、社員同士のコミュニケーション促進や、地域貢献、社会貢献など、「食」と直接関係しないカテゴリーと社員食堂との組み合わせが広がってきています。

社員食堂も変化の時代へ

2015年に野村総合研究所のNRI 未来創発センターとオックスフォード大学が発表した「“2030 年”から日本を考える、“今”から 2030 年の日本に備える。」というデータによると「10~20 年後に、日本の 労働人口の約 49%が就いている職業において、人工知能やロボット等に代替することが可能」との推計結果を発表しています。現在の社会で必要とされている仕事の約半分がAIやロボットで代替できるというものなので、社員食堂の形態も大きく変わる可能性が高いわけです。

「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。」
これは進化論で知られるダーウィンの名言です。社員食堂も従来のビジネスモデルだけでなく、新しい方向へ舵を切る時代にきているのではないでしょうか。

 

藤井 直樹(FUJII NAOKI)
社食ドットコム代表。
社員食堂のポータルサイト「社食ドットコム(https://shashoku.com)代表。
社食ドットコムでは関東・関西を中心に百数十社の社員食堂を紹介しており、
企業の社員食堂担当者による勉強会も開催し、社員食堂の価値向上に尽力しているほか、
HRX2022やHCJ2022などの展示会にてこれからの社員食堂のあり方などを提言している。

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