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スポーツウエルネスの未来を創造する管理栄養士・栄養士に求められる資質・能力とは?

 

みなさん、こんにちは。

筑波大学スポーツウエルネス学学位プログラム特任助教の清野と申します。ご縁があって、フジ産業株式会社のスポーツ栄養アドバイザーを務めております。このコラムでは、私の専門分野でもあるコーチング学やスポーツ栄養の観点から、これからのスポーツウエルネスの未来に求められる管理栄養士・栄養士(以下、栄養専門職とします)の資質・能力について、考えていきたいと思います。1回のコラムで完結するものではなく、継続的に問いを一緒に考え、そして投げかけていけるような、そんな答えのない?コラムにしたいと思っています。

刻々と変化する社会とスポーツウエルネス

2020年― 誰もが東京オリンピック・パラリンピックイヤーと疑わなかった年明けから、もうすぐ半年を迎えようとしています。このような新型ウイルスの蔓延を誰が予想していたでしょうか。そしてあっという間に時が過ぎ、その間に経済やウエルネス、スポーツ、そしてヒトに求められることは日々大きく変化しています。それは、我々栄養専門職というヒトに求められることも同様だと思います。2015年9月に、国際連合本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」では、ご存知の通り「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)が決められました。この中には、栄養専門職が大きく寄与できる目標やターゲット(例えば、目標2:飢餓をゼロに、目標3:すべての人に健康と福祉を、目標14,15:海、陸の豊かさを守ろう など)が多々あります。

今の“当たり前”を疑う力

しかし、考えてみましょう。このSDGsは2015年の9月に策定されています。目標2.1では、「2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人びと、特に貧困層および幼児を含む脆弱な立場にある人々が1年中安全かつ栄養のある食料を十分に得られるようにする」と掲げていますが、この新型ウイルスが蔓延した社会状況を踏まえてなお、この同じ目標を掲げることができるでしょうか。もちろん達成に向けて、努力する姿勢を持たなければなりません。しかし、指針や方針は、決まった段階でその集団に安定と結束をもたらします。一方でアメーバのように様々な形質変化を起こす今の社会では、その指針や方針を理解した上で、より“今”、最も良き変革を起こす意思決定は何だろうか?そんな問いを自ら省察し、投げかけることのできるヒトが求められているのではないでしょうか。指針や方針は、もちろん社会の変化に合わせて変わるでしょう。いつかは。しかし、それを待つヒトなのではなく、自らその変化を現場で感じ、発信し、成果を見える化できる栄養専門職が、この不確かなスポーツウエルネスの未来から求められているのではないでしょうか。実は、我々現場に立つ栄養専門職だからこそ、その変化を常に感じとることができるはずだと思います。

トップスポーツが求める栄養専門職の資質・能力とは?

例えば、競技スポーツにおける栄養専門職の求められる資質・能力はどのようなものでしょうか?手前みその研究で大変申し訳ありませんが、トップアスリート67名とその指導者56名に対して、質問紙調査を行った結果をまとめたものが表1、表2になります。専門的な知識が高い人は双方ともに高いレベルで求められているという結果でありますが、一方で高い点数の資質・能力であればあるほど、「持っていて当たり前」と捉えることもできるかと思います。専門職である以上、「持っていて当たり前」の知識があって、更にその上で現場から求められる特異的なこと(例えば、表1、表2で言えば低い点数の資質・能力などもそうかもしれません)に応え続けていけるからこそ、「私」というオリジナリティやヒトを動かす影響力が自然と身について、他者からも認識されてくるのではないでしょうか。

表1 スポーツ栄養士に必要だと考える資質・能力(トップアスリート)

表2 スポーツ栄養士に必要だと考える資質・能力(トップアスリートの指導者)

引用:清野隼,尾縣貢(2016)トップスポーツ現場が求めるスポーツ栄養士の資質・能力.Strength & conditioning journal, (23)6:3-11

栄養学教育モデル・コア・カリキュラム

では、ウエルネスはどうでしょうか?特定非営利活動法人日本栄養改善学会が、厚生労働省より委託を受けて検討を進めてきた「管理栄養士・栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」があります。ふと、このなかの一文を引用すると、「社会状況の変化,多様化・高度化する社会や国民の多様なニーズに対応できる管理栄養士・栄養士のめざす姿」を明らかにすると述べられています。改めて読み返すことで、栄養専門職の修得すべきコンピテンシーの奥深さを学ぶことができると思います。是非一度、目を通して、「自分はどうだろう?」と問いを投げかけてみてはいかがでしょうか。

“私”という栄養専門職にしかないオリジナリティを追究して

繰り返しになりますが、“今”、現場に立つ栄養専門職として、スポーツウエルネスの未来を創造し、変革に繋げていくために、“私”というヒトに求められていることは何でしょうか?そして、“私”にできること、もっと言えば、“私”にしかできないオリジナリティは何でしょうか?是非、これからのコラムの中で、今、変化している社会課題を通して、一緒に追究し続けていきましょう。きっとその答えは、同じ問いだとしても、いつも変わっていくものでしょうから。

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