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みんなとの軌跡~そして新時代へ~
2022.10.14
コラム
投稿者:髙山 源一
まず、「理想の社員食堂とは」と聞かれた場合、喫食する社員さんの立場なのか? 運営を管理されている会社側の担当者の立場なのか? はたまた、受託している給食会社の立場なのか? それも、営業さん、現場の管理者さん、栄養士さん、調理師さん、とさまざまな立場の方がおられるということを意識する必要があります。
私の場合、前の回でもお伝えしたように、自分でも洗い場や調理する現場でも経験をしたことや、給食会社の皆さんとも長年お付き合いする中で本音のお話も聞くことができたので、皆さんにもお伝えできればと思います。
まず、喫食する社員さんの立場の場合は「美味しく、安価で、すぐに食べられる」でしょうし、喫食する社員さんの社員食堂を管理している立場の場合は「いかに契約通り、おいしいものが、適正価格で提供されているか」、受託している給食会社さんの場合は「いかに効率よく、安全なものを調理、提供し利益をあげる」となるでしょう。
しかし、最近、どの立場から見ても心配なことが多い気がしています。
それは「理想の社員食堂」を作るには、食べる人も、作る人も、各々の会社も幸せで健全でないとできないと・・・。
私は、今年63歳になりましたが、父親は39歳で私が14歳のときに食道ガンで亡くなりました。そんなこともあり、自分も父親が亡くなった年齢になったころには、きっと同じようにガンで亡くなるのかなと思いながら、30代、40代と仕事中心の生活で、会社も忙しかったこともあり、今より体重や健康にもあまり気にせずおりました。そのためか42歳のときに健康診断結果が長年の蓄積でほぼD判定ばかりとなり、産業医の先生からもこの状態だと定年までは無理かも? と言われる始末でした。そこで入社以来、毎年1Kgずつ増えてきた体重を何とかしようと決意しました。
若いときから冬になるとスキーをしていたこともあり、スキーシーズン前になるとプチダイエットはするものの、22歳57㎏で入社した体重もちょうどそのころ77キロ、Gパンのサイズも、36インチまで拡大しておりました。会社の移転で、郊外の低層ビルから湾岸の高層ビルになったこともあり、それをきっかけに少し離れた駅から歩くことと、自分のオフィスフロアまで階段で歩くことを始めました。そして、毎晩、入浴前に体重と体脂肪、日々の歩数を自分専用のカレンダーに記入し始めました。
食事にも注意し色々な取り組みをしましたが、根っから食べることが好きなたちなので、昼ご飯は、好きなものを食べるということに決め、ストレスをここで解消し、朝は野菜ジュースのみ、夜は野菜中心でごはんは100グラム以下でおかわりなし、アルコールは仕事柄外で飲むことが多かったのですが、ビールは乾杯のみ、その後は蒸留酒のできるだけストレートということを3か月実践し、ほぼ入社時の体重でお腹回りも28インチまでとなりました。
55kg当時の筆者 77kg当時の筆者
ここで、一番大切なのは、また、36インチのお腹には戻らないという意識を持つこと!
妻が偉かったのは、「お父さん、もう、これからは健康を意識して、この大きさには戻らないなら、今のサイズより大きな服は全部捨てましょう!」と言ってくれたことです。どうせまた太るであろうと思って大きなサイズのものを残しておけば、太ってきたら残してある大きい服を着れば済んでしまい、結局リバウンドということになります。
おかげ様で、20年以上経った今でも、多少は太ったものの無理せず、自分でコントロールできる体形を維持しています。開催されるようになって毎年応募していた東京マラソンにも11年目にして当選し何とか完走できました。
話が脱線しましたが、食べる人、作る人がまず健康でいることが重要であるということの参考になればと思いお伝えしました。
さて、食べる人の会社、作る人の会社においても、社会が昭和、平成と上に忖度する文化を残して成長してきた中、令和になって社会が変わってきており、また、コロナという見えない敵とも戦うこととなり、理想だけを社員食堂に求めることができなくなってきています。
ただ、本当の意味での社員食堂が担う役目としての部分を見直してみる時期になったのも事実かと思います。オフィス、工場など事業所形態の違いで考え方は色々あるかもしれませんが、「理想の社員食堂」とは、社員が健康になれる場所であり、社員同士のコミュニケーションの場所であり、給食会社も健全な運営で利益を生み出せ、働いている方々が幸せであることが証明できるところではないでしょうか?
「そうは言っても、なかなかね~」と思うことばかりかとは存じますが、読んで頂いた皆さんの社員食堂が、より理想の社員食堂に近づくことを祈っております。
髙山源一(TAKAYAMA GENICHI)
日本ヒューレット・パッカード元総務部長
35 年半の勤務のうち 30 年以上にわたり食堂運営に携わり、15年間総務部長として活躍。 メディアからも多数取材され「社食の神様」の異名を持つ。2021年より社食ドットコムアドバイザーとしても活動中。