最先端の業界情報を
発信するメディア

これからの時代の栄養士に求められるSDGs ― 意識を身近に ―

SDGsがいつしか日本に上陸し、大手企業のサラリーマンや関係者達が背広にバッチをつけている姿を目にするようになりながらも、他人事や企業のすることでしょ!とばかりにあまり現実的に考えずにいました。そしてオリンピックがあったり、大手スーパーやグローバル食品企業達が今までの包装やパッケージなどを見直し具体的に提案をしはじめ、消費者達にも関係する事になったり、地球温暖化の現実を目の当たりにしたりと、そんな中で個人でも自分ごととして、真剣に取り組みを始め、あらゆる角度から声があがるようになりました。私も最近、3分のショート番組ですが、「ロス飯食堂」と名の付く番組でジャニーズのメンバーさんとご一緒させていただいております。家庭の中から【もったいない】と【素材を見直してみよう】という番組です。

世界を挙げて持続可能な世の中を作るために掲げる目標は17個あるようですが、先ずは私たち個々が直ぐにできるものを見直す、それが先ずは現実的なことではないでしょうか。今回はキッチンの中から見直してみようと思います。

食材のロス

やはり購入するときは計画をたて、使い切れるのか、保存は可能かどうかなどを考えてから購入する事です。私が特に大事にしていることは食材のロスもさることながら栄養のロスもとてももったいないと思っています。外食では、茹で溢したり、取り除いたりすることが常識の調理法ですが、実は灰汁は栄養的には悪ではない灰汁が多く、これらのデーターがどんどん分かって来ています。改めて素材の力を頂いて大テーマでもある、全ての人の健康にも繋がるのではないでしょうか。

水を大切にする

ついつい水を流しながら食器を洗ったりしています。食器を洗う順番や、油汚れや使う道具類についても見直しが必要だと思います。また食材を洗う事について言うと、栄養のことを考え皮や大外葉も全ていただこうと考えると、余分に水を使っていないかと少し葛藤もありますが、最近のお野菜に使用する農薬も体のことを考えてのことと聞いておりますので、あまり神経質にはならないことが大切だと思っています。

マイバッグ、マイボトル

買い物袋は真っ先に個人のトライがなされ、今や皆さん意識も高くなってきました。またマイボトル化もごく自然になりつつあり、皆さんしっかりと意識をお持ちになってきていると思います。

家事を男女で平等に分担

私の教室にも随分と男性が増えてきました。家事の分担を考えての行動だと思いますし、またやってみると楽しくなり、趣味の一つにされておられる方もいらっしゃいます。家事の中で、お互いを理解するためにも、出来ることから分担する事は大事だと思います。

地元のものを買う

ますますネットの時代になっていますので、この点は痛し痒しで、色んな発掘が出来たり、知っていただくためにもネットは大変重要なものになってきています。でも意外と地元のモノ自体を知らないことも多く、一度それをネットで見直してみて、身近に感じることも大切かと思っています。

電気の節約

これは東北大地震の時に本当に皆さんが電力の大切さを身に染みてお感じになられた事だったと思います。冷蔵庫からものを取り出す時にも予め何を出すのか、そしてそれだけではなく、まとめて取り出すようにしたり、使い終わったものも集合させてから冷蔵庫を開けて片付けたりと、心掛けています。震災も少し時が経って意識も薄れているかもしれませんが、最近の物価高で電気ガス水道代が随分と高くなってきたことも踏まえて、また改めてその有難さに感謝しながら出来る事を実行する事が大切だと思います。

作る責任、食べる責任

この部分がとても重要になってきます。作り過ぎて廃棄をしてしまう、食べる側も口に合わないとかお腹が空いていないとか等で食べ残し状態が冷蔵庫に眠り、やがては腐ってしまい廃棄につながることになります。またコロナ禍で、家で食事をする機会が増えてきましたが、出来合いのモノを買うとなると過剰包装やパックの品が増え、また一個単位の個別包装でその分ゴミが増えるとなると考えてしまいます。こうした食事は、栄養のバランスも摂り辛く、健康のことも、やはり少し考えていかなければと思います。

 

まとめる訳ではありませんが、ざっと私たちの周り、キッチンの周りを見回してみるだけでも、色々あることに気付きます。誰のためではなく、自分のためにと先ずは考え、出来ることから実行する。それが集まることで、とても大きな力になるように思います。掛け声だけのキレイごとではなく、そうした身近で出来ることが、地球を大切にし、次の世代に繋げていけることだと私は思います。

 

 

 

料理研究家 浜内千波(はまうちちなみ)

昭和30年生まれ。徳島県海陽町出身。大学卒業後、OLを経て岡松料理研究所へ入所。その後ファミリークッキングスクールを開校。雑誌や書籍をはじめ、テレビ、ラジオ、講演会、料理イベントで活躍。食材の味を生かした料理、野菜料理は特に定評がある

 

 

 

 

 

あわせて読みたい関連記事