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パワーの源は

私が勤務する事業所は、静岡県藤枝市にあり、近くの蓮華寺池公園は5月になると藤の花が満開になりとてもきれいです。
藤枝市といえばサッカーで有名な藤枝東高校やJ3の藤枝MYFCがありますが、どちらのユニフォームも藤色。
藤枝MYFCのポスターや旗が掲げられているためかコンビニに入っても店中の藤色が目を引きます。
静岡市に住んでいる私にはあまり馴染みのない色でしたのでとても新鮮に感じました。
そんな藤枝によく似合う藤色にちなんで、5月には給食の献立にも『ふじえだあえ(キャベツのゆかりあえ)』や『ふじいろヨーグルト(ブルーベリーヨーグルト)』を取り入れています。

この給食センターでは5ヵ所の幼稚園給食450食を作り、配送業務も行っています。
献立作成や仕入れもフジ産業に任されているため、毎月各幼稚園の副園長先生や給食委員の先生方と給食会議を開き、喫食状況や献立内容について、味付けなどのご意見を聞き、園児さんに喜んでもらえる給食作りに励んでいます。
今年度は、地産地消に力を入れ、地元の食材を生かした献立作成に努めています。
地元で採れた新鮮な野菜を仕入れ、園児さんにも興味をもってもらおうとポスターもつけています。

2019年4月にオープンした給食センターですが、当時私は自分がこの現場に異動する事になるとは考えてもいませんでした。
オープン前、私は別の事業所(幼稚園)にいましたが、幼稚園の献立作成やアレルギー食の対応などのサポートをしてほしいと頼まれました。
幼稚園との打ち合わせに同席していくうちに、もっと協力できる事があるのではないかと思うようになりました。
食器や備品の準備、従業員の応募者への面談、幼稚園の保護者への説明会など、だんだんと準備に追われるようになり、このまま中途半端では終われない、なによりこの給食センターで園児さんの喜ぶ給食を作ってみたいと思いました。
そして、この現場に異動することになりました。

準備段階で大変だったのは配送時間に合わせた作業工程表を決めることでした。
まず、配送の出発時間を決めなくては肝心な作業工程表もつくれません。
11時30分までに1台のワゴン車で5か所の幼稚園に配送するためには、どの順路が最短なのか、経路と所要時間を計算し試走したりもしました。
一回にどれだけの食缶を積めるのか、何便にわけて配送したら良いのか、実際にやってみないとわからない事だらけでした。
結局、3回に分けて配送することになり、1便の出発時間は10:15になりました。
10時に間に合わせるための作業工程表は、どの調理機器で調理するのか、ホテルパンに何枚の魚が並べられるのか、どの調理器具に入れるのか、配缶の計算はどうするのか、など細かなところまで決めておく必要がありました。

オープンしてからは、新しい調理機器を思うように使いこなせなかったり、機器の不具合があり予定通りに作業が進まない事ばかりでした。
終礼の時間を設け、作業しにくかった事やわかりづらかった点などを挙げてもらい、どうやったらおいしく作れるのか、作業効率を良くするにはどうしたら良いのか、意見交換をしていきました。
私と同じように他の事業所から異動してきてくれたパートさん達がいます。
その方達は、率先して作業してくれたり、前の現場での経験から良いアイデアを提案してくれたりしました。
翌日の作業確認では、意見交換をしながら作業工程表を何度も書き直し、当日の朝礼で作業工程を修正する事もありました。
今では、たくさん溜まった作業工程表を参考にしながら、パートさん達が作業工程を考えてくれています。

毎日、回収車が帰ってくると、事務仕事を中断し洗浄室へ向かいます。
今日の給食は、どうだったのか残食状況を確認します。
空っぽの食缶を見ると嬉しい反面、足りなかったのでは…と心配になる事もあります。
年少さんの残食が多かった時は大きすぎて食べにくかったのかな…と思う事もあります。
毎月の給食会議では、『量が足りなかった』『味がうすかった』などの意見があったり、季節を感じてもらおうと献立に入れた食材も、『ちょっと苦手みたいでした…。』と言われる事もありました。

嬉しかった事もたくさんあります。
昨年の事ですが、各幼稚園のリクエストメニューがあり、ピザトーストを作る事になりました。
540枚のピザトーストを焼かなくてはなりません。
ピザトーストの他にもフライドポテトもあり、メニューを聞いたパートさん達は作業工程を考えただけでとても不安になっていました。
従業員のテンションをあげるため、写真やイラストを入れたいつもとは違う作業工程表をつくりました。
それを見て『明日はピザ屋さんですね。』と意欲が湧いてきたようでした。
だんだんとテンションもあがってきたようで、明日のポジションは?フォーメーションは?ミーティングの様子は試合に挑むスポーツ選手のようにみえました。
当日は、従業員全員が一致団結して、時間内にピザトーストを焼き上げる事ができました。
給食センターにとっての一大イベントの様子を幼稚園にもお伝えしたいと思い
『ぴざやさんに へんしん!』と題し 写真付きの手紙をつけました。
ピザも手紙も園児さんに喜んでもらい『ぴざおいしかったよ。またつくってね。』とお返事のお手紙もいただき達成感のある一日になりました。

給食センターは幼稚園に隣接していないため、ほとんど園児さんの顔を見る事がありません。
回収に行った時、園児さんや先生からお手紙や絵をもらって来ることがあります。
そんな日は、パートさん達も『嬉しくて涙がでちゃうねぇ…』と言いながら手紙を読んでいます。
『いつも野菜を食べなくて困っていた子が、今日はお手紙のおかげで野菜を食べたんですよ!』と先生からお電話をいただく事もありました。
園児さんが喜んでくれる事が私たちのパワーの源です。

そして今年の4月、給食センターに新入社員が配属されました。
私やパートさん達にとって娘のような彼女の口癖(?)は、『ありがとうございます!』。
仕事を手伝ってもらった時、仕事を教えてもらった時、どんな時も素直に『ありがとうございます!』と言ってくれます。
『ありがとうございます』と言われると、こちらも笑みがこぼれます。
バレーボールを6年間やってきて身についた礼儀正しさなのかもしれません。
私も新入社員を見習ってどんな時も、誰に対しても素直に『ありがとうございます!』が言えるようになりたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

 

三浦 美香

1987年入社。CFS事業本部 静岡支店所属 事業所主任

主な業務内容は、献立作成、給食提供、事業所運営管理、
スタッフマネジメントなど。

受賞歴
2016年度 改善活動 優秀賞
2017年度 改善活動 本部長賞
2019年度 改善活動 CFS事業本部長賞

 

 

 

 

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