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「東京栄養サミット 2021」日本栄養士会主催サイドイベントへ参加して

栄養サミットはロンドンオリンピック・パラリンピック以降オリンピック・パラリンピック開催国が開催することが慣行になり、世界規模で栄養課題について取り組もうと「成長のための栄養(Nutrition for Growth:N4G)」イニシアティブとして開始されました。
日本政府は令和3年12月7日から8日にかけて東京栄養サミット2021を、東京都内のホテルで開催し、岸田首相や林外相等が参加して、海外の閣僚もオンラインで参加して開催されました。岸田首相は栄養失調に陥っている途上国の子供たち1億4000万人への支援として、今後3年間で途上国に対して、28億ドル(3000億円)以上の支援を表明し、新型コロナワクチンの変異株「オミクロン株」の世界的な広がりを受けて、1000万回分のワクチンをアフリカ諸国に供給することも示しました。

 

日本政府は栄養改善に向けた世界の関係者の取組を促し、SDGsの達成に一層貢献していくために、国内外の関係機関が世界の栄養改善に向けた意見交換や、日本の栄養の取組等の発信に関する事業を「公式サイドイベント」として認定しました。また、発表されたコミットメント(誓約)の達成度合いを世界全体で確認し合う体制づくり、世界の栄養課題の解決を目指しました。

 

日本栄養士会は日本政府から認定を受けて、このサイドイベントを東京栄養サミット2021開催日と同日に、東京国際フォーラム ホール D7および地上広場で開催しました。新型コロナウイルス感染防止措置として、対面とオンラインのハイブリッド形式にて実施しました。また、このサイドイベントでは、サミット参加関係者、国・団体、企業関係者などのほかメディアが招致され、ステークホルダーおよび広く国民に対し「日本の栄養政策」を発信し、コミットメント(誓約)への理解と協力を募るためのプレゼンテーションが行われました。

 

地上広場では日本栄養士会災害支援チーム東京メンバーを中心とした(JDA-DAT)によるキッチンカーの展示と共に、災害時の食事(パッククッキング)や、東京都栄養士会栄養ケア・ステーション登録者による、エデュケーション・カーでの栄養食事指導のデモンストレーションが行われました。また災害時の特殊栄養食品ステーションで備えられるレトルト食品等や、自治体等のコロナ禍における自宅療養者の食料品セット等の展示を行いました。

 

開催にあたり、外務省のホームページには東京栄養サミット2021の開催について次の通り記載されています。
・東京栄養サミット2021では、新型コロナウイルス感染症による世界的な栄養不良の悪化、及び
疾病の予防・治療における栄養の重要性の指摘を踏まえ、栄養に関連する多様な分野について、
幅広い関係者とともに課題解決に向けた取組を議論します。
・東京栄養サミット2021では、各国政府・国際機関・民間企業・市民社会などが、今後の栄養課
題の解決に向けた取組について発表するとともに、(1)栄養のユニバーサル・ヘルス・カバレ
ッジへの統合、(2)健康的で持続可能な食料システムの構築、(3)脆弱な状況下における栄養
不良対策、(4)データに基づく説明責任、(5)栄養改善のための資金確保、の5つのテーマに
ついて議論します。
・我が国は、東京栄養サミットを通じて、栄養改善に向けた世界の関係者の取組を促し、SDGsの達成に貢献していきます。

 

イベントのオープニングは厚生労働省作成動画 「誰一人取り残さない日本の栄養政策~持続可能な社会の実現のために~」が上映、続いて「ジャパン・ニュートリション」の説明や各職域で活躍している管理栄養士・栄養士の仕事を紹介し、日本栄養士会 中村丁次会長のコミットメント 『ニッポンの栄養 100 年を、世界へ。世界の栄養課題の解決に向けて、いま、日本栄養士会が果たすこと』発表へと続きました。

 

日本栄養士会は、世界の栄養問題に対して、日本の栄養政策 100 年=「ジャパン・ニュートリション」を輸出することとし、2030 年までをターゲットにアジアを中心に栄養士制度が無い国における栄養士制度の設立と専門職の育成、栄養士制度がある国にはスキルアップを支援し、 各国の構造的な栄養不良の解決に向けたコミットメントを宣言しました。早速、コミットメントの実現としてサイドイベントの会場では、ラオスの大使が日本の財団が建立した小学校に、学校給食制度の創設に期待する旨を示され、日本栄養士会による支援が始まるということになりました。他にも47都道府県栄養士会からのメッセージビデオの上映などを含め、サイドイベントのプレゼンテーションが行われました。

 

東京都栄養士会栄養ケア・ステーションとJDA-DAT東京は、2日間で延べ約100名がこのイベントに参加し、地上1階の広場において見学にいらした一般の皆様に対する対応をさせていただきました。改めて食・栄養の専門職として国民の健康維持増進・福祉の向上を目指すと共に、国際貢献も見据えた取組みの必要性を強く感じました。

 

 

 

西村 一弘

駒沢女子大学 人間健康学部 健康栄養学科 教授
社会福祉法人 緑風会 緑風荘病院 運営顧問

養成校で教鞭をとりながら、現役で病院やクリニックでの栄養食事指導に従事、また、日本栄養士会認定災害支援登録管理栄養士として被災地での食・栄養の支援に関わっている。
管理栄養士・栄養士の職能団体である日本栄養士会常任理事、東京都栄養士会会長。

 

≪所属≫
東京都糖尿病医療連携推進委員会委員
日本糖尿病学会
日本臨床栄養代謝学会
NPO法人西東京臨床糖尿病研究会理事、
日本給食経営管理学会、
西東京糖尿病運動スキルアップセミナー世話人、
つぼみの会小児1型DMサマーキャンプ栄養班キャップ ほか多数

≪著書≫
災害時におけるメディカルスタッフの役割 医歯薬出版
日本プライマリケア連合学会 薬剤師研修ハンドブック 共著 南山堂
実践臨床栄養学実習 第一出版
がん栄養療法ガイドブック 南江堂
栄養ケアプロセス第2版 第一出版 ほか、多数

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