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おいしい食をすべての人に/第3回「これも和食? 地域の食も楽しんでもらいたい」

■日本の食にニーズが高い

前回の記事では、インバウンドに日本の食が大人気になっていることをお伝えしました。浅草の牛かつの店や、お寿司屋、もんじゃ焼きの店には外国人が行列を作っていて、入店するまでに1時間以上並ばないといけない店も少なくありません。
新宿や銀座、渋谷などにあるラーメン店やとんかつ屋、てんぷら屋、海鮮丼店などにも、多くの外国人が行列になっていて、その様子はメディアやインターネットを通じて世界中に伝わっています。

■これは本当に日本食か?

しかし、こんな光景を見て、本当に日本の食のよさを伝えられているのか?と不安に、これは本当に日本食か?となります。
もちろん、日本の濃厚でおいしいと評判のラーメン店では、麺やスープ、焼き豚などにもこだわりが強く、日本風カレー屋はじっくり煮込んだルーと野菜、そして白米の組み合わせが最高。とんかつは「世界中の豚肉の料理の中で一番おいしい」、「こんなにジューシーでおいしい豚肉料理を食べたことがない」などと絶賛されるおいしさ。
元々、ラーメンやカレー、とんかつなどは海外から伝わった料理ではありますが、日本において独特の製法やおいしさの追求を経て発展を遂げ、ルーツである中国やインド、フランスとは全く違った日本らしい料理になっています。
余談ですが、日本料理の代表的な料理である「肉じゃが」は、イギリス海軍経由で伝えられたビーフストロガノフがルーツとのこと。また、饅頭やかりんとうも、元々は中国由来のお菓子です。そう考えると、発祥はどうであれ、日本で長い時間をかけて育ち、独自の特徴をもって根付いている料理であれば“日本の食”として自慢していいでしょう。
しかし、その一方で、日本の各地には古くから伝わる食文化、郷土料理があるということもインバウンドには知ってもらいたいと思います。

■インバウンドに興味を持ってもらうには?


ここで、“本来の”日本の食について考えてみましょう。ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」に示された内容などをもとに、その特徴をまとめると以下の4つになります。

<地域性>
日本の食の最大の特徴は、全国の地域ごとに特徴ある料理が根付いていることです。表には全国の都道府県別に、各地の代表的な郷土料理・ご当地メニューをまとめてみました(紙面の都合上、各都道府県3つまでとし、選定にあたっては筆者の私見としています)。こうしてみると、全国には様々な魅力的な料理がたくさんあること、つまり多様性を改めて感じます。
インバウンドの方にも、これらの料理を求めて、全国各地に足を延ばしてもらえるようになれば、地域活性化にもつながるのではないでしょうか。

<健康的>
日本食の特徴として、野菜を多く取り入れ、栄養バランスに配慮している点も注目すべきでしょう。日本食の基本である「一汁三菜」は、動物性油脂を控えて「うま味」や発酵食品を活かすことで、「肥満防止や長寿につながる」と健康志向のインバウンドから注目されているようです。

<器の文化>
日本料理において、器は料理を乗せるための単なる「いれもの」ではなく、食卓を彩り、料理をよりおいしく見せ、自然の美しさや四季の移ろいを感じさせる「おもてなし」を演出するものであり、料理の一部でもあります。
海外のレストランだとディナー皿、スープ皿など統一されたデザインの5ピースを1人分とするセットが一般的ですが、日本では茶碗、小皿など一つ一つが色や形、素材が異なり、「器使い」という文化を形作っています。時には瓦や石、葉なども器として利用してしまう、そういった柔軟性や趣もあります。全国の陶磁器や漆器の産地をめぐり、地の器で料理を食べる体験を、インバウンドにもぜひ楽しんでもらいたいものです。

<季節性>
日本の料理の特徴のひとつに、年中行事とのかかわりがあります。例えば正月には、おせち料理や雑煮が不可欠。しかも、汁、具材、餅の形などは地域によって異なっていて、「地域らしさ」が満載です。
ひな祭り、花見、七夕、夏祭り、月見、紅葉狩りなどの季節行事には、それを祝う伝統的な料理がふるまわれ、節分での豆、土用丑の日のうなぎ、冬至のかぼちゃ、など季節にあった食材を楽しむ風習も残されています。
「日本料理」には、季節を楽しみ、自然や健康、人々への感謝をするという文化の一部であるということを、インバウンドを通して世界中の多くの人に知ってもらいたいと思います。

■各地の代表的な郷土料理

田中 章雄(たなか あきお)

一般社団法人日本フードバリアフリー協会 代表理事
株式会社ブランド総合研究所 代表取締役

1959年福井県生まれ、東京工業大学理学部卒業。
日経BP社で雑誌記者、新雑誌・新事業開発を約20年間担当。日本ブランド戦略研究所社長を経て、2005年にブランド総合研究所を設立し、代表取締役社長に就任。
2008年に地域ブランドおよび地域団体商標の普及・啓蒙活動により「知財功労賞経済産業大臣表彰」を受賞。2011年にギネス世界記録地域活性化委員会副委員長、2012年9月に一般社団法人ハラル・ジャパン協会副理事長、2017年食農体験ネットワーク協議会代表、2019年一般社団法人日本フードバリアフリー協会理事長に就任。2020年都道府県アンテナショップ研究会代表に就任。

地域ブランドの提唱者および第一人者として、毎年100箇所で地域ブランドや地域活性化についての講演・セミナーを実施している。日本テレビの人気テレビ番組「秘密のケンミンSHOW」、「世界一受けたい授業」などのコメンテーターとしてもおなじみ。
また、2016年5月の伊勢志摩サミットにおいて、伊勢の広報統括アドバイザーに就任するなど、シティプロモーションの専門家でもある。
全国の自治体の評価調査「地域ブランド調査」を開発・実施。地域ブランドアドバイザーや、地域ブランドコンサルタント、食農連携コーディネーター、「地域ブランドNEWS」編集主幹などを通して各地のブランド戦略に取り組んでいる。

 

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